債務返済の留意点
2014年2月14日
こんにちは、メルマガ発行人のアローズ佐藤(中小企業診断士)です。
このメルマガは「中小企業の事業再生・業績改善」を目的として発行しています。
今日のポイントは事業再生・業績改善のために専門家がやることとして
「確実な債務返済をする」です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆今日のポイント◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●確実な債務返済をする
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前回のメルマガまで、
事業再生・業績改善を実現する上で、
差異分析を行うためのモニタリングの重要性
についてお話ししました。
会社によって開催頻度等を含む効果的な
モニタリングを行うことが重要です。
さて今日のお話は、債権者が最も注目する
債務返済計画についてになります。
計画が承認されるためには全債権者の合意が
必要となるわけですが、
その時のキーポイントの一つが債務返済計画です。
要は貸したお金がどのように返済されるのか?
またその確実性と公平性・公正性が
問われることになります。
取引金融機関が1行であれば
あまり大きな問題にはなりませんが、
複数行の債権者が存在する場合は配慮が必要になります。
あくまでも基本は公平・公正であることです。
よく用いられるのが基準日の債務状況をベースとした
各行の残高基準による按分返済です。
いわゆる残高プロラタと呼ばれるものです。
例えば、
A行の債務残高:5,000
B行の債務残高:3,000
C行の債務残高:2,000
だとすると全体で10,000の債務が
残っていることになります。
返済原資が100確保できる場合の
残高プロラタによる返済数値は
A行:50=100×5,000/10,000
B行:30=100×3,000/10,000
C行:20=100×2,000/10,000
となります。
さて、ここで問題になるのが担保の設定状況です。
要は会社が倒れた場合、
どれだけの金額が回収ができるかということです。
先程の例で見てみましょう。
A行の保全額:3,000
B行の保全額:2,000
C行の保全額:0
これを考慮して債務残高を計算すると
A行:5,000-3,000=2,000
B行:3,000-2,000=1,000
C行:2,000-0=2,000
となります。
見ての通り、A行とC行が同列になっています。
この数値を基準として返済計画をたてることを
非保全高プロラタといいます。
これで行くと返済数値は
A行:40=100×2,000/5,000
B行:20=100×3,000/5,000
C行:40=100×2,000/5,000
となります。
先程の数値とだいぶ変わっているのが分かります。
このように、何を基準にするのかによって
返済計画数値は変わってくるものだと認識してください。
細かいことを言えば少額債務の早期弁済などがあり
一概には言えない部分もあるのが事実です。
ただし、基本は上記に挙げた2パターンです。
個人的には全額弁済を基本としているのであれば
残高プロラタによる弁済計画が最も公平・公正だと
思っています。
さらに大切なことは、返済計画通りに返済を行うことです。
当たり前のことを言っているようですが、
計画が100%計画通りに進捗する保証は
残念ながらどこにもありません。
私がこのようなことを言うのも?(ハテナ)
かも知れませんが、債権者は返済計画通りの
返済が行われることを前提として合意しているのです。
それが出来ないことは計画が頓挫したことを示し、
計画の再策定や二次破綻ということになりかねません。
そうならないためにも前回のモニタリングが
非常に重要になるわけです。
逆に業績好調で返済原資が想定以上に
確保できた場合はどうしたらいいのか?
債権者との話し合いによる調整が必要になりますが、
個人的にはよほどのことがない限り
繰り上げ弁済等は行わず、しっかりと計画通りの
弁済を行うことをお勧めします。
なぜなら、来年も同じような業績を
残せる保証がどこにもないからです。
つまり返済原資を獲得できるかが
不透明な状態にあるわけです。
万が一、下振れした場合でも剰余金として
留保しておくことにより、
計画通りの返済が可能になります。
金融機関との正常な金融取引を実現するためにも
返済計画の履行は絶対条件となるのです。
あるべき姿の正常な金融取引になれば
マイナスをゼロにする再生という局面から、
前向きな未来を見据えたプラスの局面として
金融機関とより良い関係を築くことが可能になります。
今回は、事業再生のために必要な、
債務返済計画についてお話してきました。
次回からは少し視点を変えて
補助金の動向や専門家の活用方法について
お話をしたいと思います。
◆◆◆◆◆◆◆◆今日のポイントのおさらい◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●確実な債務返済をする
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このメルマガでは、業績悪化に悩む中小企業経営者の皆さんに
役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡ください。
では、また来週お会いしましょう! (アローズ佐藤)